マイクロクラックと発電低下
太陽電池の最小構成単位であるセルにはマイクロクラックと呼ばれる微小な傷が発生することがあります。目視では確認が困難であり、製造メーカーでは出荷までに発覚した場合は不良品として扱われる場合もあります。
もし、大規模な自然災害による外的要因にて太陽電池に大量のマイクロクラックが発生した場合、太陽光発電事業にはどのような影響があるのでしょうか。
マイクロクラックは、必ずしも発電性能に影響するというわけではありませんが、クラックの発生状況によっては時間が経過すると共に、気温の変化による熱サイクルでのストレス等によりクラックが進行し、発電能力が低下する可能性があります。
それでは、積雪や土壌の変化による被害を受けた発電所おいて、太陽電池の状態を確認するにはどのようにすればよいのでしょうか?
マイクロクラックはEL(Electroluminescence)検査により確認をすることができます。
EL検査とは、太陽電池に電界を印加することにより、半導体内に入った電子と正孔が再結合して発光したものを撮影して可視化した画像を分析するものです。
電界を印加すると、電気が流れている部分は発光しますが、流れていない部分は暗いままなので、外観からは判断できないものの、発電量の低下につながる可能性があるセルのクラック(亀裂)や、インターコネクターの断線・接続不良などを一目で発見できるのです。

下の画像(右側)は、セルに生じたクラックが、将来どのように発電損失を引き起こすかの例です。結晶系の太陽電池は、セルにバスバーが敷設されており(下記画像では1セルにつき3本)、バスバーに対して垂直にフィンガーバーが細かく敷設されており、セルで発電した電力をフィンガーバーによってバスバーに運ぶことにより集電しています。
セルにクラックが入った場合、経年の外的および内的要因による内部破壊でフィンガーバーが断線する可能性が高く、場所や形により発電の損失を起こす可能性があります。


EL検査はマイクロクラックの入った場所や形状から、将来のパフォーマンスに係る影響の予測を立てることが可能です。