IR検査で発見される不具合
本検査で発見される代表的な欠陥は以下の通りである。
・モジュールのバイパスダイオードの異常
・モジュールのホットスポット
・モジュールのPID現象
・ケーブル接続不良(モジュールのコネクタや延長ケーブル接続部等)
・電気設備の端子台の接続不良(ネジの緩み等)
接続箱のケーブル接続部の不良
下記の写真は接続箱の端子部における接続不良の例である。
この例における欠陥部分は工事によって接続された部分ではなく、製造メーカーの造作部分となっている。
このことから、端子部の検査範囲はEPCの工事部分だけではなく、機器そのものも含める必要があることがわかる。

影による温度分布の異常
本検査によって得られるモジュールの測定結果には、回路自体の欠陥の他に、外的な要因による温度分布の差異も含まれる。
下記の写真では温度分布の差異が確認されるが、実際にはモジュールの上空に電線が存在しており、その影が抵抗となって表れている。
気象状況その他により影の視認が難しいケースも多々あり、検査員は慎重に周囲の状況も含めて観察しておく必要がある。

モジュールのホットスポット
モジュールのホットスポットを検証する際には、オフィスでの分析が不可欠である。
下記の画像は、サーモグラフィ画像の現場での視認画像と分析画像である。
この例において、現場の視認画像のみではセル単体の発熱と認識されがちだが、実際に分析するとバスバーが発熱していることがわかる。
以上のように本件はバスバーの剥離によって温度分布の異常があったわけだが、メーカーの交換交渉などでは、より詳細かつ具体的なデータを提供した方が交渉がスムーズに行われやすい場合が多い。

本検査は本設備における発電量への影響のみならず電気的な安全性の確認に大きく寄与する検査であり、点検で毎回実施するべき項目に挙げられる。